サークル立ち上げ時に考えたこと
はじめまして、ゲームデザインを担当している かく です。
遊陽ゲームズは2018年12月に かく、IWS、ざき の3人で結成しました。この記事は遊陽ゲームズの最初の投稿であり、サークルをなぜ立ち上げたのか、立ち上げた時に何を考えたか、などの経緯や想いを綴ったものです。
目次
なぜゲームを作ろうと思ったのか?
まずはこの問いからスタートでしょう。 クリエイターなら誰しも「何かを作るのが楽しい」「作品を誰かに見てもらいたい」という欲求があると思いますが、ぼくもその例に漏れません。
モノ作りが楽しいから
モノを作るというプロセス自体が好きです。この原体験は小学生のときにクロッキーに書いたパズル・迷路・ゲームやRPGツクールだろうと思います。次から次へと出てくる課題をクリアして作品を改良していくと、それは作者にとってかけがえのない宝物となります。以前動画サイトに動画をアップロードしたときは自分で50回くらい再生しました。完全に自己満足ですね(笑)
作品を通して発生する(であろう)インタラクションが楽しいから
作品を世に出すというのは他には得られない体験です。自分の作品を中心に発生するインタラクションを想像するとワクワクします。ゴキブリポーカーでカードを差し出すときや、TCGで呪文の応酬が始まる前の「この先どうなってしまうんだろう」という高揚感には似たようなものを感じます。
また、承認欲求も作品を公表するメジャーな理由の一つでしょう。承認欲求という言葉は一時期はクリエイターを煽ったり戒めたりするものとして使われる風潮がありましたが、ぼくはマイナスイメージでは捉えていません。クリエイターにとって、承認欲求は良い作品を生み出すための強力な推進力だと思います。
作り続けたいから
前述のように、作品にはそれ自体の改善サイクルと作品の周囲で発生するフィードバックがあり、作者はそれらと向き合うことになります。次々と出てくる課題を解決するのは面白いし、その過程で起こる様々な発見や驚きは替えがたい体験となります。
ところで、アラサーとなると職場では徐々にマネジメントの仕事が増え、プロダクトへの関わり方もより間接的なものになります。モノづくりの楽しみを忘れないためにも「作る」という活動を継続的にやっていく必要があるという危機感がありました。
なぜボードゲームか?
ぼくはかねてよりボードゲーム、特に将棋とマジック・ザ・ギャザリングが好きだったので、創作の対象としてボードゲームを選ぶのは必然でした。
ボードゲーム制作の特徴は以下の二つがあると思っています。
- アナログという制約により要件がシンプルになる。デジタルと比較すると表現の幅が狭いのでアイデアがものを言う。
- 上記の制約により、モック制作が容易で改善サイクルが速い。
ゲームという題材でありつつも、デジタルと比べて少人数で機動的に作ることができるのは、規模や難易度の面で「ちょうど良い塩梅」でした。 あとはやはりアナログならではの良さです。エンドユーザの顔が見えるというのはやりがいがあります。
なぜサークルを立ち上げたのか?
これは分かりやすく「良いものを作るため」です。一人で出来る範囲には限界があるので、自分とは異なるスキルを持ったボドゲ好きな仲間を集めることにしました。個人サークルさんで全てを一人でやってしまう方もいますが、そういった方は心から尊敬します。
また、他者を巻き込んで後戻りできない環境に身を置いて自分にプレッシャーをかけることでダラけずに活動を続ける原動力にする、という意図もありました。ちなみに、ゲームが完成する目処が立っていない段階で出展の申し込みもしていました。背水の陣です。
大事にすること
遊陽ゲームズは、特定の明確な目的の下に集まった「ビジョン型チーム」ではなく、気の合う仲間と何か出来ることをやる「価値観型チーム」です。
何をするかより誰とするか
メンバーを探す上では「何をするかより誰とするか」を何よりも重視しました。作るモノやスキルの観点から集まったチームは、短期で活動するプロジェクトチームとしては良いです。ただ、「作り続けること」を前提に長く活動しようと思うとそれよりも仲間を信頼できるかの方が重要になってきます。例えゲームの制作や販売が上手くいかなくても、一緒に活動していて楽しい仲間がいればそのような問題は些細なことでしょう。
幸いなことに職場の同僚で気の合う仲間を見つけることができたいので、メンバー探しでの苦労はありませんでした。
コミュニケーションを大事に
せっかく「一緒に創作をしたいと思える仲間」を集めても些細なことで問題になるのは勿体無いので、ここは結構気をつかっています。親しき仲にも礼儀あり、というやつです。大抵の問題はコミュニケーションのスレ違いから起こります。気持ちよく活動するために、日頃から以下の4つを大事にしています。
- お金周りはクリアに
- 思考を開示しよう
- お互いの成果を誉め合おう
- 定期的に口頭で話す
よくあるトラブルは「そんなの聞いてないよ」というヤツかと思います。もっと早く言ってくれたら、効率良く/クオリティ高く できたのに…と。日頃から "悩み" や "決まってないけど考えていること" を共有することによって、こういう問題を防いでいけるのではと思い、チャットではひたすら考えたことを垂れ流しています。また、週に1度は必ずボイスチャットなどで近況報告や雑談をしています。
サークル名の由来
由来は「遊び(すさび)」という言葉です。
すさび [0] 【荒▽び・遊▽び】 〔動詞「すさぶ」の連用形から〕① 物事の進んでいく勢いにまかせること。事の成り行きにまかせること。 「ある時はありの-に語らはで恋しきものと別れてぞ知る/古今六帖 5」 ② 心のおもむくままに物事をすること。慰み。遊び。すさみ。 「筆の-」 「老の-」 「はかなき-をも人まねに心をいるる事もあるに/源氏 帚木」 三省堂 大辞林 より
心のおもむくままに物事をすること。
この牧歌的な開放感こそ、趣味で創作を続けるのに相応しいスタンスと考えました。
また、遊びの「び」を「陽」にしたのには「陽が暮れるまで遊ぼう」というメッセージを込めています。ロゴのサイコロから伸びる長い影がそれを表現しています。
まとめ
- 創作は楽しい。創作活動を継続的に行う場が欲しかった。
- 作品のクオリティを高め、創作に対する動機付けを強めるためにサークルを立ち上げた。
- 「何をするかより誰とするか」を重視し、コミュニケーションを大事にする運営スタイル。
- サークル名には「心の赴くままに活動する」「陽が暮れるまで遊ぼう」という想いを込めた。
遊陽ゲームズはまだ走り出したばかりです。活動のアウトプット(ゲーム)において何を大事にしてどういう価値を届けていくのかは、ゲームを作り続けながら見つけたいと思います。まずは自分達が面白いと思うものを面白がりながら作っていきます。
以上です。ここまでお読み頂きありがとうございました。