『カードル♪』考察~アグロデッキ編~
ぼくは『カードル♪』というLCG(カードゲーム)が好きです。システムはシンプルかつコンパクトにまとまっているし、個々のカードはトレードオフがしっかり効いておりとても良くできています。もちろん、カードル♪の特徴であるアイドルと楽曲も魅力的です。一緒に遊ぶ仲間が欲しいので、最近はことあるごとに周囲の友人にカードル♪を薦めています。
というわけで、布教も兼ねた考察記事を書いてみます。
ぼくがTCG・LCGなどのカードゲームを考える際には、まずはアグロ(速攻)デッキとコントロールデッキについて考えます。極端な戦術やデッキを考えることでそのゲームの特徴がつかみやすいからです。その中でもアグロデッキは構築しやすく1ゲームの時間も短いので真っ先に考察の対象になります。
この記事では、まずTCG文脈でのアグロデッキについて触れ、その応用としてカードル♪におけるアグロデッキの構築やプレイングについて考えてみます。
目次
アグロデッキの特徴
シンプルな戦術ゆえにコントロールデッキに比べると比較的にプレイングが易しく、事故率の面でも安定性が高いのがアグロデッキの魅力です。
アグロデッキの戦術
一般にアグロデッキは「相手が準備を整える前に勝つ」ことをコンセプトとする速攻デッキです。
ぼくはアグロデッキを「勝利点(多くの場合、相手のライフダメージ)に直結する行動にリソースをつぎ込む」ようなカード構成のデッキと解釈しています。使えるリソースをいかに効率的に勝利点に変換するかがキモとなります。手札を余らせては勿体ないのでガンガン消費するし、自分のライフも犠牲にするようなことも積極的に行います。勝てばチャラですから。
例えば、マジック・ザ・ギャザリングにおける超高速デッキ「スライ」は、効率良くカード使うための「マナカーブ」理論に基づいて練られたデッキです。スライを使うプレイヤーが多い対戦環境では、そのスピードに対抗する手段を持たないデッキタイプは勝つことが難しくなり、実質的にデッキの多様性が狭まります。
事故が起きにくい構成
多くのカードゲームは、カードが山札からランダムで供給されるため、欲しいカードが引けない、もしくは特定のカードを必要以上に引きすぎる「事故」が起こります。マジックでいうと土地事故がそれにあたります。ゲームのシステム上、事故は必ず一定の確率で起きるので仕方のないことですが、カード構成によって事故率を減らしてデッキの安定性を下げる努力は必要です。
大抵のアグロデッキは、そのコンセプトゆえにデッキのほとんどのカードが単体で勝利点に直結するカードになります。デッキの構成を尖らせることで「コンボパーツが揃わない」「切り札が引けない」などによる負けを回避できます。コンボを搭載したアグロデッキもあり得ますが、使えるリソースを最大限使うには引き運に左右されづらい構成である必要があるので、(よほど強力なコンボを除き)コンボへの依存度は低くすることが多いと思われます。
注意点として、カードル♪では自分のデッキでも相手のデッキでもない「ファンデッキ」という第三のデッキが存在するので、それを考慮する必要があります(後述)。
カードル♪のアグロデッキ構築のポイント
カードル♪におけるアグロデッキとはどのようなものになるのでしょうか?
カードル♪での勝利点は相手のライフではなくファンカードなので、アグロデッキの目的は とにかくファンを獲得しまくる ということになります。そのため、 なるべくボルテージ上昇にはリソースを割かず、より多くのカードをファン獲得に使用すること も重要です。
ここで、抑えるべきポイントは3つあります。
1. 沢山カードを使った方が効果が高い
これはほとんどの TCG/LCG に言えることではないでしょうか。
カードル♪のカード効果の設計は基準が明確です。基本セットのカードを見ると、カードデザインの基盤は「支払うコスト(アイドルの人数)は効果(獲得できるボルテージやファン獲得枚数)と正比例する」ようになっています。
アイドル1人が払えるコスト=ファン1枚=ボルテージ10%
これがベースです。これにアイドル固有のボーナスが乗ります。
ここで、ボーナス(アカリな獲得枚数+1、ヒナタならボルテージ+10%)の効果値はどのカードも一律であるため、3コストのカードを1枚使うよりも1コストのカードを1枚使う方が得られる効果は大きくなります。
沢山カード使った方が得られる効果が高いため、1ターンに複数枚の楽曲カードを使う前提でデッキを構築するのが良いでしょう。
だからといって1コストの楽曲カードだけ詰め込んでも、「手札」リソースがすぐ枯れてしまうので勝利点15点には届かず勝つことはできません。
2. ボルテージに使うリソースを決めておく
リソースを可能な限り勝利点につぎ込むというのは上で述べた通りです。ボルテージは一定量以上は不要なので、無駄に上げ過ぎないように切り詰めて考えておく必要があります。
通常のアグロであれば、ボルテージ80%で動けるデッキ構成を前提に、必要なボルテージ量を確保するために何コストのカードが何枚必要か計算しておくと良いでしょう。ボルテージの上げ方によって、後続のターンで効率よく手札を消費できるかが変わってきます。
ファン獲得にカード枚数を割きたいのでボルテージはコスト3のカードを使って上げたくなります。また、ボルテージ獲得プラン次第で応援隊長の獲得優先度が高くなります。
3. ファンデッキのランダム性を制す
一般的なTCGのおけるライフが、カードル♪ではファンの得点です。そして、点数の異なるファンがランダムに出現するのがカードル♪の特徴です。
点数の低いファンや「やっかいなファン」などのデメリット付きのファンが出現すると、それを相手に取らせて自分は後続の点数の高いファンを取りたくなってくるのでゲームが停滞します。結果としてリソースを使いきれないし、相手が準備を整える時間を与えてしまいます。「相手が準備を終えるまえに勝つ」ことをコンセプトとするアグロデッキにとっては大きな課題です。
そのため、勝率を安定させるには困ったファンをどうにかしたり、ファンの出現状況に左右されにくいようにする、といった工夫が求められます。
カードル♪の基本セットでは「やっかいなファン」が唯一のお邪魔ファンでしたが、1ターンで複数枚のカードを使うことが多いアグロにとってはそれほど脅威ではありませんでした。しかし、拡張セットから登場した「口うるさいファン」が中盤以降に登場した場合、大きくゲームスピードが落ちる可能性があるため対策が必要となっています。
口うるさいファンの攻略は重要度が高いため、以降はそれについて書きます。
口うるさいファン攻略
デッキ構築
デッキ構築の時点では以下のような対抗手段を用意しておくことが考えられます。
- ①口うるさいファンを迂回してファンを獲得する
- オハナの楽曲カード3種
- Don't Be Afraid
- ②デメリット効果を消す
- 夢みずにいられない
- 風になりたい
- ③山札に戻す
- サークルモッシュ
- 家族
- 愛してくれない王子様
- ④獲得してボルテージが下がっても戦えるようにする
- おいでよ、ヒナターランド
- ヒナタの夢
プレイング
アグロデッキでは、最序盤に口うるさいファンが出た場合は獲得してしまった方が良い場合が多いです。
- やっかいなファンでデッキに戻してしまうと後で困り事の種になる。
- こちらが口うるさいファンを獲得していると青系デッキはファンを奪いにくくなる。
もちろん、相手がとってくれるならそれが一番良いのですが。
あとがき
カードル♪のアグロデッキについて書いてみました。僕は普段はコントロールデッキ(もしくはコンボデッキ)を使うことが多いので、アグロをメインで使う人の意見も是非聞いてみたいところです。
最初に書いたとおり、カードル♪はファン獲得とボルテージ獲得のトレードオフや各種カードの設計がシンプルかつシビアなところなど、考察すればするほどとても良くできているゲームと感じます。自身が楽しむためにも引き続き布教していこうと思います。
最後に宣伝となりますが、拙作『忍尾将棋』がカードル♪とコラボをしていただけることになっています。(カードル♪が好き過ぎてコラボを申し込んだところ、快諾して頂けました)
ゲームマーケット2020春が中止になってしまったため時期は調整中ですが、書き下ろしコラボイラスト入りのプロモカードの配布も予定しています。
なお、既にコラボ楽曲を収録したCDが発売されています!
【カードゲームのアイドル「カードル♪」】
— 藍川アカリfromカードル♪@クリエイターズ大賞受賞 (@cardol_tcg) 2020年2月16日
最新アルバム「Change My Ballad」
のクロスフェード動画です!!
カードゲーム第2弾に登場した8曲に加え
話題のアナログゲーム #忍尾将棋 とのコラボ楽曲も収録!!
ライブで対バン勝負!?カードル♪の詳細はこちらから!!https://t.co/Va9OrEGo2M#M3 #M3春 pic.twitter.com/oBJypT8TU0
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