BGA,TTS的サービスとデジタルボドゲの特徴について考えた
皆さんご存知の通り、巷を騒がせている新型コロナウイルスの影響はボドゲ業界にもダメージを与えています。ボドゲカフェはもろに打撃を食らっていて、大手と呼ばれるカフェも自粛期間の延長(~2020年5月末)に悲鳴を上げています。制作者は通販という手段で活動を継続できますが、全体として見ればイベントでの販売規模には及ばない状況でしょう。また、業界全体で見ても、遊ぶ機会が無い状況が続けば市場規模は当然しぼんでしまうでしょう。
この状況にあって注目を浴びているのがBGA(BoardGameArena)やTTS(TableTopSimulator)です。オンラインボドゲ会や製作者のテストプレイで利用され始めています。この記事では、これらのサービスで遊ばれるようなゲームを "デジタルボドゲ" と呼びます。
デジタルボドゲは
- 製造のリードタイム無し
- (物理的な)流通コスト無し
- 在庫無し
というデジタルの利点を享受しつつも、同時に「ゲームロジックの実装が不要なデジタルゲーム」であることに可能性を感じます。
デジタルボドゲでは、今までデジタルゲームで必要とされていたゲームロジックの実装(=プログラミング)をユーザーのオペレーションに丸投げできることによって、そこにかかる技術・資金・時間をカットできます。安く高速にリリースできる代わりにユーザーに負担を強いるけれど、普段からボドゲに親しんでいる人にとってそこはデメリットにならないのが面白いところです。
既存のデジタルゲームと比較したときの弱味は、
- システムによる厳格な裁定が行えないこと(イカサマできちゃう)
- ユーザーを選ぶので規模が小さいこと
サービス運用の課題は、
- デジタルへの心的ハードル低減とストレスの無いコミュニケーションの実現
- 安全に遊べるコミュニティと文化規律の形成・維持(リアルなボドゲも一緒でこれが一番難しそう。mixiみたいなクローズドなSNSが必要になるのだろうか)。
…といった感じでしょうか。システムが仲介してくれない分、ユーザーのモラルに依存してしまうだろうなと。モラル問題は、現実のボドゲ会やネット人狼などで語られているとおりで、デジタルボドゲでも必ず問題となるでしょう。
BGA的なサービスは、物理制約に縛られないデジタルの利点と、「ペンとサイコロがあれば作って遊べる」アナログゲームの良さが融合した遊びのプラットフォームとして花開くのでしょうか。これからの展開に期待です。