SUSABI GAMES

ボードゲーム制作レーベル「遊陽(すさび)ゲームズ」からの情報を発信します。

『HacKClaD』はどのようなボードゲームか(ゲーム体験・システム編)

この記事は、5月29日からクラウドファンディングを開始する『HacKClaD』に興味を持ってくださった方により具体的にゲームを知っていただき、ご支援の判断材料の1つとなることを目的に執筆しました。ある程度ゲーム慣れした方がHacKClaDのゲーム体験を想像する助けになるよう、少し詳しめにゲーム体験とシステムについて書いています。
※記事内の画像は全て開発中のものとなりますので予めご了承ください。

クラウドファンディングでの支援をお考えの方へ>
こちらのリンクから「プロジェクト開始時に通知を受け取る」設定ができます。是非ご活用ください。https://www.kickstarter.com/projects/susabigames/hackclad

【目次】

ゲームの概要

HacKClaD(ハッククラッド)は、荒廃した世界で人類を襲う怪物 - クラッド - を倒し、力ある魔女として名声を得ることを目指す戦略シミュレーションゲームです。魔女たちは未来に干渉する能力でクラッドに立ち向かい、戦果を競います。

  • タイトル:HacKClaD(ハッククラッド)
  • プレイ人数:1~4人
  • プレイ時間:90~120分
  • システム:デッキ構築、手番ドラフト、グリッドムーブメント
  • 公式サイト:HacKClaD official website

ストーリー

「未来を砕く、力を示せ-」

荒廃した大地に佇む人類最後の都市-エンクラティア-は、虚空より出現して人間を襲う怪物”クラッド”の脅威にさらされている。結晶化したエネルギー源である魔石”シーラ”と瘴気から成る装甲に身を包んだクラッドに唯一対抗できるのは、魔力で生成した武器と未来視の能力を持つ「魔女」と呼ばれる少女たちだけである。
怪物からより多くの魔石”シーラ”を獲る魔女は強さが認められ、その所属する派閥は都市を統治する実権と名声を得る。
各々の目的のため、少女たちはクラッドとの戦いに身を投じる。

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遺物都市エンクラティア

ゲーム体験とシステム

HacKClaDはのシステムは、デッキ構築(成長)、手番ドラフト、グリッドムーブメントなどの要素の組み合わせによって構成されています。プレイヤーは魔女の1人となり、閉ざされた結界(フィールド)内で怪物-クラッド-と対峙します。クラッドはプレイヤーが操作するのではなく、一定のランダム性をもったルーチンによって行動します。

HacKClaDのゲーム体験の特徴は、以下の2つ性質が作り出す緊張感爽快感です。

  1. フィールドを移動して敵の攻撃を回避し、コンボを叩き込むアクション性
  2. 近い未来とその先を見据え、行動順とデッキを組み立てる戦略性

「未来」はこのゲームで重要なキーワードです。システムは、プレイヤーが未来の出来事を察知して干渉するための手段を提供します。 (実のところ、このゲームは「未来を切り拓くこと」を作品のテーマとしています。)

このゲーム体験とそれを実現するシステムを3つのポイントでご紹介します。

①予知された未来への干渉

魔女たちは未来視の力を持ち、クラッドの行動の合間に自分のアクションを割り込ませることで戦いを有利に進めることができます。プレイヤーは毎ラウンド公開されるクラッドの行動計画を見た上で、その前後のアクションスロットに自分の手番をプロットします。これにより、クラッドの攻撃をすんでのところでかわしたり、隙をついて懐に切り込んだりといった選択が可能となります。

ここで重要なのは、1つのアクションスロットに手番をプロットできるのは1人だけであることと、現在のラウンドで手番が遅かったプレイヤーは次のラウンドで優先的に手番をプロットできることです。必ずしも望んだアクションスロットをとることができるとは限りませんが、例え現在の状況が自分にとって良くなかったとしても、遅い手番を選ぶことで次のラウンドで有利に立ち回ることができるのです。

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処理シーケンスを示す共通ボードの一部

また、プレイヤーが未来への布石を仕込むためのシンプルな機構が存在します。ゲーム全体のサイクルを把握してからでないと適切な説明が難しいため詳細は割愛しますが、ラウンドを跨いで好きな手札を持ち越し、特定の状況に有効なカードや切り札の入手をコントロールすることができるのです。

これらの仕組みにより、目前の状況に対処しつつより良い未来を引き寄せる戦略と、狙ったコンボやカウンターがキマる爽快感を楽しむことができます。

➁デッキ成長システムが生み出す様々な戦術とゲーム展開

魔女はそれぞれ固有の戦術とデッキを持ち、ゲーム進行に合わせてデッキを強化することができます。ゲーム中にデッキに追加できる強力なスキルカードたちはそれぞれがコンボや戦略的要素を搭載し、デッキに加えることで戦術の幅が広がります。同じキャラクターでもスキルの組合せによって複数パターンの戦い方があるため、このスキルの選択は非常に楽しいポイントとなっています。

成長するのはプレイヤーだけではありません。クラッドが持つデッキもラウンド経過で成長し、凶暴さが増していきます。終盤になるほど戦いは激化し、ダイナミックにゲームが動く白熱した展開となります。

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スキルカード(左)とクラッドカード(右)

③閉ざされたフィールド内での緊張感ある攻防

プレイヤーは自分の手番で3枚の手札を使ってフィールド上での移動や攻撃を行います。この3枚をどのように使うか、そのためにこのラウンドの手番をどこにプロットするべきか、デッキに追加した強力なカードをどう活かせば良いか、、、シンプルな要素とルールにより、プレイヤーは戦略を組み立てる「悩ましくも面白い」部分に注力できます。

また、自分以外のプレイヤーも未来に干渉できるため、予測のズレが起こり得ます。これによりフィールドマップ上ではしばしば予想外のことが起こりますが、そういった出来事に対処する手段とリソースもしっかり用意されています。目の前の脅威にリソースを使って対処するか、負傷することを受け入れる代わりにチャンスまでリソースをとっておくかはプレイヤーの選択次第です。

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フィールドマップ

本作を作る際に最も重視したのは「ルールが十分にシンプルであること」です。マスベースの戦略ゲームはルールが煩雑になりがちであり、自律行動するNPCキャラクター(本作におけるクラッド)の行動はさらに細かいルールで制御されることが多く、プレイヤーに負担をかける要因になります。

『HacKClaD』ではこの問題を「5x5マス」と「循環マップ」によって解消しています。つまり、狭いマップの端は世界地図のように繋がっていて、キャラクターがマップの右端から出ていけば左端から戻ってくるのです(!)。これにより、この手のゲームにありがちな「ヘイト管理」や「壁際での処理ロジック」など煩雑なルールを排し、ストレスの少ないシンプルなゲームルールを実現しました。狭いマップ内ではキャラクターとクラッドの距離は常に一定の近さにあり、細かいルールを設定せずともクラッドはただ暴れまわるだけで十分な脅威となります

テストプレイにおいても「しっかりした戦略ゲームだけど不思議とプレイ感は軽い」「2時間があっという間だった」など、多くのプレイヤーに好評をいただきました。

HacKClaDはどんな人に向けたゲームか?

HacKClaDの特徴の1つはデッキ構築とカードコンボなので、『ドミニオン』『クランク!』のようなボードゲームTCG/LCGと呼ばれるジャンルのカードゲームを遊ぶユーザー全般にオススメできます。ぼく自身が『マジック:ザ・ギャザリング』が大好きなので、そのエッセンスが入っています。ですので、遊陽ゲームズの過去作や『桜降るよに決闘を』『ガンナガン』などの2人対戦ゲームに親しんだ方が重戦略級のゲームを楽しみたい場合にももってこいです。

また、『サイズ 大鎌戦役』や『最後の巫女』、『異世界ギルドマスターズ』は、プレイヤーユニークスキルとその成長、マップを用いたインタラクション、プレイ時間など共通点が多く、そういったゲームのラインナップの1つとしても楽しんでいただけるでしょう。

おわりに

長い記事となりましたが、最後までお読みありがとうございました。HacKClaDを「面白そう」と感じていただけましたら幸いです。
ご希望の方は、こちらのリンクからクラウドファンディング開始時に通知を受け取る設定ができます→ https://www.kickstarter.com/projects/susabigames/hackclad

ゲームの詳細なルールを公開できるのはまだ少し先になる見込みです。その準備と並行して、盤面やカードの動きを見ていただけるような動画を制作中です。

以下の記事にテストプレイでの感想を掲載しました。ゲームの面白いポイントやどんな人におすすめかの参考にご覧ください。 susabi-games.hatenablog.com

また、HacKClaD公式サイトにはキャラクターや世界観についても掲載していますのでそちらも是非ご覧ください。 sites.google.com