SUSABI GAMES

ボードゲーム制作レーベル「遊陽(すさび)ゲームズ」からの情報を発信します。

ボードゲーム試遊で「インスト/アドバイス」するときに気を付けていること

ルール説明やプレイの補助をしていて、プレイヤーにアドバイスをしたくなった時にそれが本当に必要かはしっかり考えた方が良い、という話です。主なシチュエーションとして、自作ゲームの試遊会を想定して書きますが。(制作者でなくても、初心者にボドゲを教えるようなポジションの人でも概ね同じかと思います。)

制作者は自分のゲームの楽しみ方を一番理解していますし一つ一つのテキストに込めた思いがありますが、それをプレイヤーに伝えるタイミングを間違えるとお互いに不幸になってしまうでしょう。また、初見のプレイヤーにスムーズにゲームをプレイしてもらうための手ほどきとして、"インスト(ルール説明)" と "アドバイス" の境界があいまいになることも多いと感じます。

この記事では、「これやっちゃうと良くない方向に行きやすい」と感じた事柄について書いてみます。

全てはケースバイケースですので、程度問題かつプレイヤーの力量次第、ということは注記しておきます。

目次

アドバイスの副作用

副作用❶ ゲーム進行が止まる

内容がなんであれ、プレイヤーは制作者の言葉に耳を傾けてしまい、プレイに集中することが妨げられます。会話内容が目の前のゲームと関係性が薄い内容の場合、特にターンプレイヤーは傾聴するべきなのかターンを進めるべきなのか迷うこともあります。

副作用❷ パンクする

カード効果の応用、コンボの例示、読み合いの解説が過多になるとこれを引き起こします。そのゲームに慣れていない人が必要以上の情報を詰め込まれると・・・お察しの通りです。混乱してしまったり「難しいゲームだ」「自分には合わない」という印象を与えてしまうでしょう。

副作用❸ 発見や成長の機会を奪う

ゲームを理解していく過程は往々にして楽しいものです。
本来はプレイヤーが自主的に発見して成長するべきなものを意図せず楽しみを奪ってしまう可能性があります。これが難しいのは、制作者やボドゲ熟練者にとっては当たり前のことでも、ゲームジャンルやプレイヤーの経験値によってその限りではないことです。よかれと思ってのアドバイスが【意図に反して】【無意識に】裏目に出る辛いパターン。

恐れがあります。「このカードはこう使うと良いよ」「そのアクション順は逆の方が良いよ」など、よかれと思っての助言であっても無意識に楽しみを奪っているかもしれません。

2大アンチパターン

プレイング指示系

基本的には、プレイヤーのアクションが致命的にゲーム進行を破壊したり全員が被害を被るような場合を除き、するべきではないと考えます。副作用❷❸が生じます。

  • 「こっちの方が効率が良いよ」-> 発見と成長の機会を奪う事になりかねないです。
  • 「それはやってはダメ」-> 同上。失敗から学ぶのもまた楽し。

制作うんちく系

ゲームへの想いが深いほど、話をしてしまいがちです。副作用❶が生じます。興味深く聞いてくれる人もいますが、基本的にはゲームを遊びたい人が多いでしょう。

  • 「実はこれはこうしようと思ってたんだけど…」-> 制作苦労話。今やってるゲームとは無関係なのでやめた方が良いでしょう。
  • 「拡張では…」-> 基本的に今やっているゲームに集中して貰う方が優先すべきなので、ゲームが終わってからアピールするのがベターです。また、プレイヤーの1人に聞かれたとしても手短に切り上げるのが良いでしょう。

心がけていることなど

  • 試遊が終わった後に雑談コーナーを設けておく。また、それを前提としたスケジュールにしておく。プレイヤーからの感想を聞きつつ、感想戦・アドバイスやゲームへの想いを語る時間にする。
  • プレイヤーが気持ちよくゲームをできているか心配な場合は、具体的なプレイ方法を伝えるよりも「分からないことがあったら聞いて下さい」と問いかける。
  • プレイヤーにとって分かりにくいところはどこか知っておくこと。プレイヤーがフリーズしていそうなときにフォローを入れたり、そもそもそうならないようにインスト時点で手厚く説明したりします。(多くの場合、これは何度も経験して初めて分かることですが)
  • プレイング指示については直接的なアクションではなく「今何をするべきフェーズなのか」という大枠で伝えてあげるのはありだと思います。抽象的な事柄になるので簡潔な内容で済みますし。特に中量~重量級のゲームでは投資や得点化のタイミングを間違えると後の展開が辛くなりがちなので・・・。

まとめ

アドバイスの副作用3つとアンチパターン2つを書いてみました。こういうのは分かっていてもついついやっちゃいがちなので気を付けていきたいところです。
また、対人である以上、ボドゲをほとんどやったことない人・慣れている人・応用テクニックをどんどん吸収していきたい人・自分で発見したい人、などなど相手に合わせた対応は必要です。ボドゲを楽しく遊ぶために、また、自作ゲームの良さを知ってもらうためにも、プレイヤーへの気遣いを意識し実践していきたいと思います。